カラーやパーマで将来ハゲる可能性は?ヘアケア用品の発がん性について。

AGAガイドブック

こんにちは、 発毛専門医 です。

診療をしていると、「カラーやパーマで将来ハゲになる可能性は?」とストレートな質問をされ、わたし自身も焦ることもあります。白髪染めでハゲる心配をサれている方もいます。

現時点で、薄毛とパーマやカラーの関係については、結論が出ていないため、「そこまで心配する必要がない」とお伝えしています。

実際、AGAの治療中にパーマを定期的にされている方も、きちんと効果がでておられることも考えると、そこまで神経質にならなくてよいでしょう。

たしかに、自分が日々使うヘアケア用品について色々知りたくなるのは、自然なことかと思いました。

そこで今日は「日常的に使っているヘアケア用品の発がん性」についてお話します。

ヘアケア用品の有害事象については、多くの研究が行われていますが、いまだに結論が出ていない分野です。そしてインターネットには、怪しい情報もあふれています(笑)

正しいヘアケア用品の選び方は、またの機会に紹介するとして、今回は「ヘアケア用品、毛染め剤による発がん」にフォーカスを当てて解説します。

「染毛剤でがんになる」といわれ始めた歴史

19世紀に初めて、現在普及しているタイプの毛染め剤が発明されました。

ただ残念なことに、初期の染毛剤には、がんの原因となる芳香族アミンやベンゼンなどの化学物質が含まれていましたのです。そして1970年代に至るまで、発がん性物質を含んだ染毛剤が発売され続けました。

1970年代頃になって初めて、メーカーは発がん性のある物質から、発がん性のないとされる物質に製造方法を変更していきました。

最新の発がん性に関する情報はWHOが発表

最新の発がん性物質に関する情報で、(賛否はありますが)最も信頼できるのはWHOのホームページです。WHOの傘下にあたるIARCという組織が発表を行っており、誰でも無料で見ることができます。

様々なWebサイトやメーカーのサイトで発がん性について解説されていますが、100%ウソとは言えないですが、根拠の少ないものが多いのも事実です。理由としては、自社製品や通販につなげるために書かれている記事が多いからです。

有名な発がん物質

IARCが発表している『発がん性物質の分類』をみてみましょう。上にあるほど発がん性が高く(危険)、下に行くほど安全な物質です。

グループヒトに対する発がん性具体的な発がん性物質
発がん性があるアルコール飲料
アルコール由来のアセトアルデヒド
ピロリ菌
ベンゼン
2Aおそらく発がん性があるアナボリックステロイド
亜硝酸塩
美容師や理容師といった職業
2B発がん性がある可能性があるアセトアルデヒド
エンジン排気
ガソリン
3発がん性について分類不可能塩素飲料水
個人利用の染毛剤
4発がん性がない

注意:日々更新されているので、初稿執筆時点で最新のものを記載しています(IARC公式HPより)

アルコールは発がん性もあるし、薄毛の原因でもある

アルコールの多量摂取はがんのリスクを増大させますが、原因の一つにアセトアルデヒドが関与していると考えられており、上記表でも「発がん性がある」と分類されています。

このアセトアルデヒドは、薄毛を引き起こすことも知られており、薄毛対策では、過度な飲酒を控えるように指導するのも、これが理由です。

アルコールは、毛髪の敵です。

個人利用の染毛剤による発がんは現在不明

個人利用の染毛剤が、血液のがん・乳がん・膀胱がんのリスク増加と関連付けていますが、それを否定する研究も多く、今のところ発がん性については結論が出ていません。

一方で、美容師や理容師といった職業上の理由で毎日のように染毛剤を扱うことは、「おそらく発がん性がある(2A)」とされています。

パーマ剤や染毛剤と乳がんのリスクについて最新の研究

過去の研究では関係なしと結論

これまでの研究では、染毛剤と乳癌のリスクは否定されていました。

1977年から2002年の間に発表された、乳がんと染毛剤に関する14個の研究をまとめあげた、2005年のスペインの研究では、染料使用者では乳がんのリスクを非使用者と比較して増加しませんでした(染毛剤のがんリスクに関するメタ分析 )。

2019年の大規模研究が、毛染めによる乳癌リスクを指摘

ところが、2019年12月に発表された、約5万人の乳がん患者姉妹を対象にした研究で、縮毛矯正剤や染毛剤を使うことで乳がんのリスクがあがるという研究が発表されました2019年12月に米国のジャーナルに掲載されて物議をかもしています。

この研究は1研究にすぎないものの、

  • 対象が約5万人という比較的大規模である点
  • 統計学的に意味のあるリスクが出ている点

で注目するに値する研究です。

染毛剤を使用していると答えた人は全体の55%で、定期的に使用していた者はそうでない者と比べて(1年間)、乳がんリスクが9%高いとう結果が出ています。

染毛剤だけでなく、パーマ剤の使用でも、乳がんリスクと関連がみとめられ、しかも使用回数の増加に伴いリスクは上昇したのです。

女性ホルモンのバランスが原因で乳がんになる

明らかになっている乳がんのリスク因子は、

  • 初経年齢が早い
  • 閉経年齢が遅い
  • 出産歴がない
  • 初産年齢が遅い

のようなエピソードがあると、乳がんのリスクとして明らかになっています。これらから分かるように、乳がんは女性ホルモンのバランスに深いかかわりがあります

あくまで推測ですが、こうしたヘアケア用品が性ホルモンと関係があるとすると、薄毛との関連性もゆくゆく明らかになる可能性があります。

結局、カラーやパーマは発がん性があるのか?

この最新のアメリカの研究だけでは、「パーマ剤やカラー剤は発がん性がある」と結論づけるのは、まだはやいと言えます。

この研究をきっかけにパーマ剤やカラー剤の有害性の原因がわかれば、よりよいヘアケア用品の開発につながるので、気になる論文ではありますね。

新しい情報があれば、また紹介したいと思います。

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