毛髪治療のミノキシジル・メソセラピー・再生医療・植毛手術すべて解説【AGA解説4】

前回はAGA治療の予防的治療について、ご説明しました。AGA解説シリーズもいよいよ第4回、最終回の予定です。

AGA治療には「予防治療」と「毛髪再生治療」があり、今回はそのうちの「AGAの毛髪再生治療」について詳しくご説明していきます。

目次

なお、本記事では一般的な医学知識を紹介しております。ご自身の症状に関しては、必ず医師や専門家にご相談ください。

AGAの治療とは?

AGAは頭頂部、生え際等でゆっくりと薄毛が進行する病気で、体内で生まれた悪性男性ホルモンの“DHT(ジヒドロテストステロン)”の 作用で、毛を生み出す器官“毛包”が徐々に小さくなっていきます。

小さい毛包から作られる毛は細く柔らかくなり、成長する期間も短くなるため、結果的に髪が通常よりはやく抜け落ちてしまうのです。

治療の方法は大きく分けて2種類あり、今回は毛髪を再生させる治療について詳しくお話します。

悪性男性ホルモンのDHTを減らして進行を止める“予防治療”と、小さくなった毛包を大きくし、再び強い髪が生えるようにする“毛髪再生医療”の2種類です。

実際に治療を行う場合、進行度や症状に合わせて両方の治療を継続的に行うのが一般的です。

“予防治療”は別の記事で解説していますので、今回は“毛髪再生医療”について詳しく解説していきます

毛髪再生治療の種類

毛髪再生治療は、年々治療法が増えてきている分野です。一般的に行われている毛髪再生治療法は、

  1. ミノキシジル成分をつかった治療
    1. ミノキシジル塗り薬
    2. ミノキシジル飲み薬
    3. ミノキシジル注射(メソセラピー)
  2. 再生医療技術を用いた注射
  3. 手術治療(自毛の植毛手術)

に分けられ、症状や希望に応じて行われます。

ミノキシジル成分をつかった治療

最も一般的で歴史も長いのは“ミノキシジル”という薬の成分を使った治療です。塗り薬が代表的で、症状が軽い方でも併用をしています。

ミノキシジルは飲み薬として処方されることもありますが、ミノキシジルの飲み薬は塗り薬に比べて副作用も強くなるので注意が必要です。

また、ミノキシジルと他の有効成分を配合した薬と直接頭皮に注射する“メソセラピー”という治療もあります。
詳しい解説

再生医療技術を用いた注射治療

再生医療技術を用いた注射が最も新しい治療です。

患者さんご自身から採取した血液細胞や脂肪細胞を、治療に有効と考えられている成分に加工し、頭皮に注射する治療です。

自分自身の細胞を使って治療を行うため、再生医療治療には心理的にも安心でき、実際に副作用も減らせるというメリットがあります。

従来は薬で効果が出ない人には手術がすすめられていましたが、頭部にメスを入れることに抵抗感のある人も多くいらっしゃいました。再生医療技術の治療はそうした薬の服用と手術の間を埋める治療として注目されています。
詳しい解説

手術治療(植毛手術)

症状が進んでおり、希望される方には植毛手術が行われます。自身の後頭部など、薄毛が進行していない部位の毛を皮ふごと移植します。

手術を終えれば毛髪が生えている状態にすぐ戻ることができるため、植毛手術は、「1年後の結婚式までに」など増毛したい期日が明確な人に特に適した治療法です。
詳しい解説

ミノキシジル成分を使った治療

「歴史ある育毛剤」ミノキシジル塗り薬

ミノキシジルが開発されたのは1960年代のことでした。

当時は高血圧に対する飲み薬としてアメリカのアップジョン社(現ジョンソン&ジョンソン社)が開発しました。

しかし服用している患者で毛の成長や薄毛部分の改善などの副作用が発見されたことで、薄毛治療薬としての研究が始まり、アメリカでは1980年代に薄毛治療薬として認可を受けました。

日本では医師の処方が必要な医療用医薬品だけでなく、濃度が5%以下のミノキシジル塗り薬は“市販医薬品”として厚生労働省の認可を受けて販売されています。

市販医薬品とは、医師の処方が無くても薬局で購入することができる薬のことで、ミノキシジル塗り薬で最初に販売された製品は、1999年に大正製薬から発売された現在でも抜群の知名度を誇る“リアップ®”です。

リアップ®は第一類医薬品に指定されているので購入は薬剤師のいる薬局でないとできません。ミノキシジル塗り薬は病院で医師に処方を受けるか、薬剤師のいる薬局で購入することで入手できます。

ミノキシジル塗り薬の種類

ミノキシジル塗り薬は、ローションタイプ、クリームタイプ、フォームタイプ(泡)の3種類があります。

「さらっとしたローションタイプ」「どろっとしたクリームタイプ」「泡状のフォームタイプ」のどれを選ぶかは、患者さんご自身の好みの使用感に応じて選ぶことになります。

タイプによって効果はそこまで変わりませんが、習慣化のしやすさに違いがでてきます。最も人気があるのはローションタイプです。

ミノキシジル塗り薬の濃度の違い(クリニックvs薬局)

市販で販売されているものは、0.5%と極度に濃度が低いものから、5%と許可されている最大濃度まで含まれているものもあります。薬局で購入する場合は、ミノキシジルの濃度を確認して購入しましょう。(濃度毎の効果や副作用については「ミノキシジル5%のほうが効果が高い」を参照)

AGA専門クリニックでは、症状や進行にあわせて5%以上の濃度のミノキシジル外用薬を取り扱っている医療機関が多いです。

ミノキシジル塗り薬の効果と副作用

ミノキシジル塗り薬の効果として、毛髪の量が増えることが期待されます。

毛が増える理由は、頭皮への血流が増加するからです。また、ヘアサイクルの成長期間(1本の髪が生えてから成長を続ける期間)が長くなり、休止期間(成長し終わった髪が抜けるまでの期間)が短くなる効果もあると考えられています。

毛が伸びる時間が増え、休止期の脱毛が減ります。副作用としては皮膚の炎症が起きる場合があります。また、添加物によりお肌に合わないことがあります。

また、上述のように成長し終わった髪が抜けるまでの期間が短くなるので、ミノキシジルを投与して間もない時期は“成長は止まっているけれど抜けていなかった髪”が抜けることになります。

そのため使い始めてすぐの時期には抜け毛が増えるように感じられることがあります(ミノキシジルの初期脱毛といわれます)。

ミノキシジル塗り薬の使い方と効果が出るまでの期間

ミノキシジル塗り薬を使用する際は医師から処方された量を毎日使うようにしましょう。市販薬では添付文書に記載があります。

一般的な話をすると、毎日服用することになるので、汗をかきやすいといった体質や生活スタイルに応じて継続して使いやすいものを選ぶようにしてください。匂いが苦手な方もいるようです。

服用形式としては、決まった量を1日二度乾燥した頭皮に塗りこむのが一般的です。効果が確認できるまで最低限4か月使用を継続する必要があり、4〜8か月で発毛効果が見られるとこれまでの研究から考えられています。

ミノキシジル塗り薬の初期脱毛

服用を続けることで、毛髪の再生効果を保つことができます。中断期間があると、8ヶ月以上効果がかかるまで時間がかかることがありますが、一般的に経過の途中で発毛の効果が乏しい場合は、薬の濃度を途中で上げることもあります。

服用し始めてからすぐの期間は抜け毛が増えたと感じられることがありますが、初期脱毛は2か月以内に解消されるのが一般的だと考えられています

【補足1】ミノキシジルはなぜ毛を増やすのか(作用機序について)

毛髪を成長させる効果が出る要因としては、AGAの進行によって小さくなった毛包がミノキシジルによって大きくなるからだと考えられています。

実はミノキシジルが毛包を大きくするメカニズムはまだ明らかになっていないません。

いくつか説が提唱されており、毛包に運ばれる栄養が増えることによって毛包が成長するというのが有力な説の1つです。

ミノキシジルはもともと、血管が固くなり高血圧になっている人の血管を緩くし血圧を下げる薬でした。特に手先や皮膚などの細い血管を緩める作用が強く、頭皮の血管も緩くします。

頭皮の血管が緩くなることで、頭皮に流れる血流量が増え、毛包を育てる栄養も血液に乗って多く毛包に届くようになり、毛が増えると解釈されています。

【補足2】ミノキシジル濃度5%が最も効果があるとする研究

市販薬ではミノキシジル塗り薬の濃度は5%が最大濃度です。では、5%より薄いミノキシジルでは効果は少ないのでしょうか。

これを調べるために、2002年のアメリカで18~49歳のAGA患者393名を対象にプラセボ対照ランダム化試験が行われました。(参考文献

プラセボ対照ランダム化試験とは、患者をグループに分け、治療薬を投与するグループの他に一つのグループには治療薬によく似せた偽薬を投与する試験方法です。

被験者は「濃度2%」と「濃度5%」のミノキシジルローションと「ミノキシジルのはいっていないローション」を投与されるグループに分けられ、1年間(48週間)1日2回頭皮に振り分けられた薬を毎日塗りました。

その結果、1年後に頭皮1c㎡あたりの毛髪の増加数を調べると、ミノキシジル5%は18.6本の増加、ミノキシジル2%は12.7本の増加、偽薬(なしの場合)は3.9本の増加という結果になりました。

また、医師が判断する頭皮の被覆率(毛におおわれた面積の多さ)と患者自身が評価する被覆率と満足度の評価においても、ミノキシジル5%が最も優れた結果が得られたと報告しています。

一方で、2%ミノキシジルを塗った患者と比較して5%ミノキシジルを塗った患者の方が、かゆみや炎症が多く見られたことも報告されています。

この研究では、5%以上のミノキシジル濃度については調査していません。濃度が濃くなれば、副作用もそれだけ頻度は上がるため、5%以上の高濃度ミノキシジルはクリニックでしか処方できません。
(参考:ミノキシジル塗り薬の濃度の違い クリニック vs 薬局

【補足3】市販でリアップ®シリーズを買うなら濃度5%の「X5プラス」

上述の通り、1%のミノキシジルより5%ミノキシジルのほうが効果が高いです。

クリニックに通って、自分にあった塗り薬をだしてもらうのが1番ですが、どうしても「AGAクリニックに通いにくい」という方もおられるかと思います。

例えば同じリアップシリーズでも、商品によってミノキシジル濃度が異なっています。ミノキシジル成分濃度を必ず確認し、薬剤師に相談するようにしましょう

【補足3】ミノキシジルは、飲み薬と塗り薬では安全性が全然違う

上記試験以外にも、ミノキシジルの塗り薬は多数の臨床実験が世界中で行われており、近い結果が得られたと報告されています。

毛包に作用するメカニズムは明らかになっていませんが、ミノキシジルの効果と安全性は多くの臨床研究で明らかになり、副作用の頻度もデータが集まってきています。

注意していただきたいのは、上記の研究結果はミノキシジル塗り薬に関する研究です。ミノキシジルの塗り薬と飲み薬は、副作用が全く異なります。「塗り薬」と「飲み薬」を混同しないように気を付けてください。

「効果はあるけれどリスクが高い」ミノキシジル飲み薬

塗り薬で有名なミノキシジルですが、ミノキシジルには飲み薬もあります。ミノキシジルタブレットを略して“ミノタブ”と呼ばれることもあります。

飲み薬も増毛効果が確認されていますが、安全性は検証されていないのが現状ですので注意してください。

飲み薬は手軽に摂取でき、習慣化できるという点では非常に優れています。ところが、薬の有効成分が全身にとりこまれるため、思わぬ副作用が出ることも多々あります。

ミノキシジル飲み薬の副作用

ミノキシジルは全身にとりこまれれると、心臓の副作用もあり命にかかわることもあり、安易に勧められるものではありません。

血圧が低下すると、心臓へも血液の供給ができなくなり、心臓が停止する危険性もあります。怖い副作用以外では、体毛が増えることも多々あり、生活の質が下がってしまう可能性もあります。

通常、ミノキシジル飲み薬の処方は極めて慎重に行われ、だれでも処方をうけることができるわけではありませんので、ご注意ください。海外輸入で自己判断で飲んでいる方は、こうした副作用に気づかない恐れがあるため、危険であることを認識しましょう

こんにちは、CenCenです。ミノキシジルを飲んでいると、体の毛が濃くなるという症状はよく起こります。 以前の記事「ミノキシジルの歴史、内服するリスクについて」でも紹介しましたが、ミノキシジル...

ミノキシジル自体は安全ではありません

上述の塗り薬についての説明を読んでいただき、ミノキシジルは安全性と有効性について理解いただいたと思います。

そうした「ミノキシジルは安全だ!」という主張だけを切り取り、塗り薬ではなく、飲み薬として処方する医療機関もあります。しかもオリジナル薄毛治療薬やミノタブとして処方される場合がほとんどですので、ご注意ください。

塗り薬は安全性は検証されていますが、飲み薬は安全性の検証が全くされていません。どうしても飲む場合は、AGA専門クリニックでの定期的な診察を必ずうけるようにしてください。

「治療薬を直接頭皮に注射」メソセラピー

AGA治療に限らず、有効成分を患部に直接注射する直接注入する治療を“メソセラピー”といいます。

飲み薬や塗り薬は治療薬が作用する部位に達するまで時間がかかりますが、メソセラピーでは治療したい部位に直接お薬を送ることができるため、より効果が出やすいと考えられています。

AGA治療でも近年メソセラピーが採用されるようになり、

専門クリニックのうち、メソセラピーを扱っているクリニックで治療を受けることができます。

施術の際には、針を使わず水圧を用いて成分を注入する“ノンニードル注射”や針のある場合でも“麻酔クリーム”が使われることがほとんどです。

そのため、“注射”といっても痛みを和らげてもらいながら、頭皮に治療を受けることができます。

メソセラピーで注入する成分

頭皮に注射される成分は大きく分けて「薬剤成分(緑色)」と「成長を促す成分である“成長因子”(赤色)」という2つです。保護成分として、「ビタミンやミネラルを配合(青色)」することもあります。

具体的な成分や配合の割合はクリニックによって異なります。

薬剤成分としては、ミノキシジルが配合されることが多いです。

クリニックによっては、予防治療薬のうち副作用が弱い“フィナステリド”というお薬も配合されることもありますが、フィナステリドを直接頭皮に注入する科学的な根拠はあまりありません。

メソセラピーの成長因子について

“成長因子”は、簡単に言うと生き物の体内に存在する細胞の増殖や分裂を促す成分のことです。細胞が増えることで、その器官は大きくなり、傷ついていた場合は傷が治ります。

そのため“成長因子”が作用する部位は細胞が成長し、傷も修復されます。

“成長因子”を頭皮に注入することで、小さくなった毛包を成長させるのが注射をする狙いです。メソセラピーでは、人工的に作成した“成長因子”を注入します。

“成長因子”がメソセラピーの重要な鍵となります。クリニックによっては、海外製の粗悪な“成長因子”を使っていたりするため、“成長因子”すら入れていない場合もあり、注意が必要です。

メソセラピーの対象となる方

塗り薬を長年使ってきて効果が頭打ちになっている方、塗り薬も含めて出来るだけ発毛効果を期待したい方、などを対象に行われることが多いですが、症状や患者さんの希望に応じて実施されます。

成分や注射方法に応じて料金はまちまちが、きちんと効果を期待するとなると、塗り薬と比較するとどうしても高価になってしまうのが難点です。

再生医療技術を用いた治療

「自分の細胞から発毛パワーを取り出す」PRP注射

PRP注射もメソセラピーの1つです。一般的なメソセラピーとの違いは、“PRP(多血小板血漿)”はお薬ではなく、自分の細胞から作られる成分である点です。

“PRP”は多血小板血漿の略で、患者自身の血液から培養した成長因子を多く含んだ有効成分です。

“PRP”を皮膚に投与する治療は、厚生労働省が再生医療と定めており最近注目を集めています。患者さん自身の血液を利用するため、安全性が高いと考えられています。

PRPは血小板という成分から作られる

PRPは血液細胞から“血小板”という成分を取り出します。血小板は、白血球や赤血球などと血液を構成する成分で、かさぶたを作りケガを治すはたらきをします

血小板は、カプセルのような構造をしており、中には細胞の成長と再生を促す成長因子が入っています。成長因子が傷を癒やす役割をするのです。

遠心分離という特殊な処理を経て、“血小板”が多く含まれるように濃縮抽出したものをPRPと呼びます。カルピスの原液みたいなイメージです。

(参考:成長因子の役割は『メソセラピーで使う成長因子』)

PRPを活性化し頭皮に注入する

自分の血液から抽出したPRPを薄毛が進行した部位に注入します。

実際に注射するPRPは、活性化という特殊な工程を経て、血小板の中に入っている成長因子をより多く抽出する加工が行われており、成長因子が体内の細胞へと届きやすいようになっています。

PRPを加工することにより、高濃度の成長因子を利用することができます。

PRP治療による効果と副作用

PRP治療は、もともと自分の体内にあった成分を注射する治療なので、安全性が高いと考えられています。メソセラピーで注入される成長因子は自分の体内にあったものではないので、その点が異なります。

まだ新しい治療であるため、効果を検証する研究は現在さかんに行われています。

既に行われた実験の中では、対象となった患者の数が少ないですが毛が生える効果があったと報告しているものもあります。

新しく登場した、安全性も高い治療ですが、設備が整っているクリニックでないと受けることができません。

一人ひとりの血液からオーダーメイドする治療になるため、実際に注射を受けられるまで時間がかかることと、必要なお金も高額になることも多いです。

「自分の脂肪から万能な細胞を取り出す」脂肪の幹細胞注射

脂肪の幹細胞治療は、脂肪細胞を使った再生医療です。

薄毛治療をする前に、お腹の手術を行い、皮下にある脂肪をとらなければいけません。とってきた脂肪を特殊な機械をつかって、加工してごく少量の幹細胞(かんさいぼう)を取り出します。

幹細胞とは、どんな細胞にもなれる万能の細胞です。この治療で使う幹細胞は、脂肪の細胞からとってくるため、脂肪になりやすい幹細胞です。

その幹細胞を頭皮にいれると薄毛が治るという治療ですが、この幹細胞自体が、毛母細胞になるかどうかは、現時点では疑問が残ります。

世界的にみても実施の件数が少なく、ドイツでは学会発表もされていますが、数としては少なく、現時点ではおすすめしにくい治療となっています。

また、薄毛治療のために、お腹にメスを入れるような手術をすることになるため、患者さんに負担がかかるのも現在の課題です。

植毛手術治療

「自分の毛が抜けにくい部分ごと移植」自毛植毛手術

自身の薄毛が進行していない部位の髪を、皮ふごと薄毛の部位に移植する手術を行う治療です。

移植した部分に髪が生えるだけでなく、移植部位ではAGAが進行しにくくなると考えられています。

毛だけではなく皮ふごと移植する点がポイントです。AGAが進行する部位にはAGA進行に必要な成分が多く存在すると考えられており、逆にAGAが進行していない部分にはAGA進行に必要な成分が少ないと考えられているためです。

AGAはDHTという悪性男性ホルモンが毛髪に作用することで進行します。

DHTは善玉男性ホルモンの“テストステロン”と“5-αリダクターゼ”という酵素が反応して生み出されます。

また、DHTが髪に作用する際には“男性ホルモン受容体”という器官をもった細胞と結びつくことで、髪に作用するようになります。

頭頂部やおでこなどAGAが進行する部位では、この“5-αリダクターゼ”と“男性ホルモン受容体”が多く存在するという研究結果が発表されています(参考文献

後頭部の皮ふごと移植すると“5-αリダクターゼ”と“男性ホルモン受容体”が少ないという性質も移植先の部位に引き継がれることになるため、AGAが進行しにくくなると考えられています。

一部のクリニックでは毛根だけを1本1本取り出して移植するような実験的な術式も採用されています。

自毛植毛手術の持続性と安全性

自身の同じ頭の皮ふを移植するため安全性は高いと考えられています。

ところが、生着率(植えた毛がどれぐらいもつか)については、疑問が残ります。また移植を行わなかった部位ではAGAが進行します。

移植から年月が経つと、移植部位とオリジナル部位でAGA進行に差が出て“いびつなヘアスタイル”になってしまう可能性があります。

そのため、手術後も予防薬を併用するのが一般的です。薬をやめられるというわけではない点に注意が必要です。

「海外では禁止されている」他人の毛の植毛手術

他人の毛や人工毛を植毛する手術も存在します。古くから研究されてきた手術ですが、他人の毛も含め、人工毛の移植手術は現在、推奨されていません

理由は、副作用が発生しやすいためです。にもかかわらず、国内では規制がないため、実施しているサロンやクリニックがあるようですが、アレルギーが発生するため、生着せず、治療としては行うべきでないでしょう。

アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)はアメリカでの他人の毛の植毛を禁止しているほどです。

各治療の比較

各治療を比較した表になります。

参考文献

2002年のアメリカの論文

1999年 New England Journal

Treatment of hair loss