突然ですが、「接合部型表皮水疱症」という病気を聞いたことはありますか。無いかと思います。
「表皮水疱症」は、皮ふが擦れたときに、皮膚に水ぶくれや潰瘍(かいよう)をひきおこすのが特徴の病気です。約10万人にひとりの頻度で、日本には、約500~1000人の患者さんがおられると予想されます。
接合部型は、その中でも表皮水疱症の約1割と言われていますから、極めてまれな疾患です。まれな病気で、ほとんどの人にとって関係ありません。
しかしその病気の原因を知ることで、薄毛や白髪になるメカニズムがわかりますので、ご紹介しますね。
薄毛や白髪になるメカニズム
「接合部型表皮水疱症」の中に、「17型コラーゲン」が足りないことで、頭頂部の脱毛を引き起こします症状が知られています。この「17型コラーゲン」と「育毛」は深い関係がある、と言われています。
「17型コラーゲン」は「毛包幹細胞」を維持する
「17型コラーゲン」は、「毛包幹細胞」を基底膜(毛根の最底面)につなぎとめ、正常に幹細胞として機能させる、大切なサポート役を担っています。
「17型コラーゲン」に異常があると、「毛包幹細胞」は正しく機能しなくなります。
「毛包幹細胞」2つの大切な役割
では、「毛包幹細胞」が機能しなくなると、どうなるのでしょうか?
1.「毛包幹細胞」は毛髪を再生
毛髪は、一定期間成長してから抜けています。抜けた毛根からは、新しい毛髪が再生されます。この流れをヘアサイクルといいます。(ヘアサイクル)
新しい毛髪を作っているのが、「毛包幹細胞」です。
2.「毛包幹細胞」は「色素幹細胞」を維持する
「色素幹細胞」とは、一言で言えば髪の毛を黒くする細胞です。「毛包幹細胞」が機能しなくなると、毛が生えなくなるだけでなく、白髪も増えるとされています。
「毛包幹細胞」が機能しないと、白髪・薄毛になる
まとめると、「17型コラーゲン」に異常があると、「毛包幹細胞」が機能しなくなり、白髪や薄毛になるというわけです。

さいごに
接合部型表皮水疱症の原因からひもといて、「17型コラーゲン」「毛包幹細胞」を中心にした育毛と髪が黒くなるメカニズムをお話しました。
「17型コラーゲン」を頭皮に塗れば、発毛促進が実現できるはず、なのですが、「17型コラーゲン」の臨床応用に至っていません。
「17型コラーゲン」の分解をおさえるような物質(薬品)の誕生が今後期待されています。
参考情報
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/5338
17型コラーゲンα1 – wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/XVII%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%B3_%CE%B11