男性型薄毛治療薬(AGA治療薬)で、世界ではじめて薄毛に対して医師が処方できる薬として承認されたのが、プロペシア(一般名:フィナステリド)です。
5年間の臨床研究で、プロペシアを飲んだ90%の患者さんで抜け毛の進行が抑えられている結果となっており、抜群の治療成績があります。日本で発売開始となったのは2005年で、発売から既に10年以上たっています。
薄毛治療といえばこれまで、塗り薬が主でありましたが、内服薬で治療するという革命を起こした薬でもあります。
プロペシアが薄毛の進行を止めるしくみ
男性型薄毛は、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という悪性の男性ホルモンが原因で、頭頂部や生えぎわの薄毛を引き起こす疾患です。
悪性の男性ホルモン(DHT)は、「テストステロン」という男性ホルモンから変換して作られます。プロペシアはこの変換を阻止することで、薄毛や体毛増加といった悩ましい症状を抑えます。

大切な注意事項
妊娠中の女性は絶対触れてはいけない
プロペシアは男性専用の治療薬です。女性や子どもに使用は禁止されています。
特に妊娠中の女性がプロペシアに触れると、胎児が男の子だった場合は、生殖器(おちんちん)に異常を起こす可能性があり、極めて危険です。
過去にプロペシアが国内で手に入りにくい時、リスクをとって個人で薬を輸入をする方が多く発生したため、厚生労働省から異例の注意喚起がありました。
前立腺がんを健診で見逃される恐れがある
前立腺がんは、2024年には罹患数は約10万人と予想されており、男性がかかる癌のうち、第1位の罹患数になるとの見通しがたっています。
前立腺がんになると、血液中のPSAという数値が上昇します。通常の健康診断では、PSAの値を測定し、前立腺がんを発見します。
ところが、プロペシアを飲むとPSAの値が下がります。健診をしっかり受けていても、前立腺がんを見逃される可能性がでてくるのです。
意外と副作用で悩む人が多い
プロペシアが優れているのは副作用が少ないことです。他にも薄毛に効く内服薬はありますが、副作用が多いのが難点です。
ただ、副作用が少ないとはいえ、性欲減退、男性機能低下、精液量減少、じんましん、発疹、ニキビといった副作用が見られます。肝機能障害も起こりますので、必ず医師に診てもらいながら服用するようにしましょう。
精液の質低下(精子濃度減少、 無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等)も副作用に含まれており、妊活中の男性は注意が必要です。勃起不全などで悩む方も少なくありません。
副作用は医療機関でないと診察できません。医師からの処方以外(海外からの個人輸入)で内服するのは大変危険です。絶対にやめましょう。
よくある疑問
プロペシア0.2mgと1.0mgの違いは?
効果については、0.2mgも1.0mgもほとんど変わりがないといわれています(データが少ない)。一方で、性欲減退等の副作用に関しては、0.2mgのほうが少ないとされています。
1.0mgが国際的に見ても一般的で、処方されている数が多いです。
彼氏(旦那)がプロペシア内服中に妊娠したら?
男性(彼氏・旦那)がプロペシアを内服している場合に、精子に異常を来たすという報告はありません。製薬メーカーの見解では、「妊活に問題ない」とのことです。
男性がプロペシアを飲みながら、妊活&妊娠をされている夫婦は、確かにおられます。ただ一生に一度のことなので気になりますよね。
「どうしても気になる」という方は妊活の期間はプロペシアの内服を中止し、他の治療法を検討するのもひとつの方法です。
プロペシアと他の育毛剤や内服薬を飲んでもよいのか?
プロペシアと飲み合わせが悪い薬は多くありません。なので、ほとんど大丈夫ですが、薬によります。医師に相談しましょう。
ドーピング禁止の大会に出場できるか?
はい、ドーピング禁止薬物にしていされていないので、スポーツ選手でも内服できます。
献血することはできるのか?
残念ながらプロペシアを飲んでいると献血を行うことができません。
献血を行う前の問診で、直近1ヶ月以内のプロペシア内服履歴を確認する項目があります。理由としては、プロペシアはホルモン剤であり、輸血を受ける患者に移行すると有害事象が発生するかもしれないからです。
参考資料
製薬メーカーの公式文書
製薬メーカーであるMSD社が公開している薬の添付文書や注意喚起文書です。必ず目を通すようにしましょう。
MSD社(プロペシア製造元)の公式HP
※プロペシアはMSD社の商標登録で、薬の成分名はフィナステリドです。